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1−90P 残留塩素検出実験セット」、
          
1−91P 残留塩素検出実験セット(パステルジュース手品応用可能セット)
                     
の解説記事として記載しているものです。

          水の硬度に関する記事については、「1−80N 不思議な水」、「1−85N 不思議な水(5色セット)
                 他、「不思議な水」シリーズの科学マジック関連記事としてもご参考ください。

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 普段は特に何も考えること無く飲んだり、料理、風呂、洗顔、洗濯、そうじ、いろいろな用途に使っている水ですが、市販の天然水を注意深く味わってみたり、外国で水道水などを使ってみたりすると、水道水、天然水、硬水、アルカリイオン水など、それぞれ微妙に味や、匂い、風味が違うことが理解できるかと思います。
 こうした違いがどういうところからきているのか少し記載した後に、その水の違いの一つの要因となる、本題の残留塩素についての解説を記載していきたいと思います。


1.水の硬度、酸・アルカリ度(pH)、残留塩素
 市販されている水を比較するときによく取り上げられるのが水の硬度でしょう。 市販の天然水は、当然残留塩素が含まれておらず、pHも(アルカリイオン水など意図的にアルカリ性にしたものを除き)通常はほぼ中性ですから、水の性質を決める要素のうち残った主なものはこの硬度です。
 河川の水など、直接には飲用にされないものでは、この他に化学的酸素要求量(COD)なども特性比較に上がり、CODが高いものは有機物が多く含まれているということですから、匂いや風味などにも影響します。 しかし、こうしたCODについては、水道水や市販の天然水を扱う場合には十分低いものとして、ここでの考慮の対象からは外すことができるでしょう。


2.水の硬度
 水の硬度は、対象とする水に溶け込んでいるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)の量で定義されます。
 ヨーロッパのように河川が長く、地中にあるCaやMgがたくさん溶け込むための時間と流域の面積がある場合には、一般的に多くのCa、Mgが溶け込むため水の硬度は高い傾向があります。
 CaやMgは、主に硫酸塩、塩化物、重炭酸塩、炭酸塩の形で溶け込んでいますが、重炭酸塩や炭酸塩による硬度は、対象の水を煮沸すると不溶性となって除去できるため、一次硬度と呼ばれます。 一方、硫酸塩や塩化物の形のものは煮沸しても溶解し続け除去できないため、この塩のCaやMgによるところの硬度は永久硬度と呼ばれます。
 ナベやヤカンでお湯を沸かすと、重炭酸塩や炭酸塩の形のCaやMgは水に溶けにくくなるため、容器の壁に析出してこびり付きます。 ヨーロッパなどの海外が長い方は経験されたことがあるかと思いますが、ヨーロッパの水道水のような硬度が高く、CaやMgの炭酸水素塩、炭酸塩を多く含む水は、こうした塩(えん)が付きやすく、しばらくの間ナベ、ヤカンを使って沸かし続けていると、容器の壁は真っ白になっていきます。
 なおご参考に、重炭酸カルシウム(炭酸水素カルシウム)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの水への溶解度を以下に記載しておきます。
 ・重炭酸カルシウム(炭酸水素カルシウム)  約1.5  g/l
 ・炭酸カルシウム                  約0.015g/l
 ・炭酸マグネシウム                 約0.1  g/l

 こうしたCaやMgを多く含む水は、PBのevianやvittelもそうですが、通常「味」と表現するものとは違う感じの何か異質の味があり、表現が難しいですが、この水に何かが含まれていることを感じることができるかと思います。 石鹸を使うと、石鹸の成分の脂肪酸がこのCaやMgと結合するため、泡立ちが悪くなることでも知られており、実際ヨーロッパの水道水で石鹸を使うと日本の水とは勝手が違います。

 一方日本は河川の長さが短く、CaやMgが溶け込むための時間と流域面積が少ないため、日本の水道水などに利用されている水は硬度の低いものがほとんどです。 沸かしてもナベやヤカンに白い付着物は付きにくいですが、それでも長く使い続けていると、白いものがこびり付いているのを見かけたことがある方もいらっしゃるかと思います。 硬度の低い水は、特別な味も感じられず、お茶などを入れてもしっかり抽出でき、石鹸も泡立ち良く利点が多いと言えます。
 そして市販の水として容易に入手できる水の中で、最も純度が高く硬度の低い水は「日本薬局方の精製水」でしょう。 この水にはCaやMgといった硬度に関係する成分はほとんど含まれていません。

 以下に、こうした水の硬度について調べた例を挙げます。 水の硬度は
炭酸カルシウム換算で表す決まりがあり、Caの量×2.5、 Mgの量×4.1として算出し(※注)、これをmg/l (=ppm)の単位で表すため、水の硬度として例えば、Caが100ml中に1mg含まれている場合、25mg/l、 Mgが100ml中に1mg含まれている場合には41mg/lという硬度の数値になります。 1lの水は1kgですから、mg/lはppmという単位と同じになります。 ※注: Caの原子量は40.08、 炭酸カルシウムはCaCOで100(40+12+16×3=100)ですから、炭酸カルシウム換算では×(100/40)=×2.5となります。 Mgは原子量24.31ですから、同原子数のCaに置き換えて炭酸カルシウム量換算に直すと、40.08/24.31=1.65、 Ca:×2.5 → Mg: ×(2.5×1.65)= ×4.1となります。)

 以下は、市販の水を硬度の低い順に並べたものです。

  (市販の水はCaやMgをmg/100mlで表すのが一般的で、硬度の数値として表されているものはあまりありません。)

  ・南アルプス天然水 (0.6×2.5+0.1×4.1 〜 1.5×2.5+0.3×4.1)×10 = 19.1 〜49.8mg/l

  ・カナダ・バンクーバー島の水 (0.82×2.5+0.15×4.1)×10 = 26.6mg/l
                    (Ca:4.1mg/500ml、 Mg:0.75mg/500mlと表示)
  ・富士山のバナジウム天然水 (0.75×2.5+0.26×4.1)×10 = 29.4 mg/l
  ・CRYSTAL GEYSER (0.64×2.5+0.54×4.1)×10 = 38.1mg/l
  ・Volvic (1.15×2.5+0.8×4.1)×10 = 61.6mg/l
  ・evian (8.0×2.5+2.6×4.1)×10 = 306.6mg/l
  ・vittel (9.1×2.5+1.99×4.1)×10 = 309.1mg/l (公式サイトの数値表示は硬度315
                          ↑上記で×10の理由は、mg/100ml → mg/l に直すためです。

上に挙げた vittel や evian のように海外の(大陸の)水は一般に硬度が高く、特にevianなど一部の硬水は、日本の一般的な軟水の10倍程度の硬度を持つものがあります。


 日本の水道水は、たいてい硬度が100mg/l以下の軟水と呼ばれる範囲にあります。


3.水の酸・アルカリ度(pH)
 先ほどの水の硬度で、記載したCaやMgの塩のうち、硫酸塩や塩化物は強酸(硫酸、塩酸)と強塩基(Ca、Mg)の塩ですから、水に溶けたときは中性になります。 重炭酸塩や炭酸塩は弱酸(炭酸)と強塩基(Ca、Mg)の塩ですから、これが溶けている場合は弱アルカリ性に傾くことになります。 日本の水もこれらの重炭酸塩、炭酸塩が含まれていますが、溶解量が非常に少ないため水のpHとしてはほぼ中性か、ほんとうに微弱な範囲ですが弱アルカリ性に傾いていることが多いです。
 そして、こうしたCaやMgの重炭酸塩や炭酸塩を含む水は、pHとしてはほぼ中性ですが、酸を加えたときにはまずこの重炭酸塩や炭酸塩の中和に使われてしまい、酸性側にするためには少し多めに加えなければならないという現象も見られます。 これは硬度の高い水ほど顕著になります。 また、一度酸性側に傾けてから、アルカリを加えて中和したときには、この重炭酸塩や炭酸塩が既に中和されて消失していますから、以降は酸を加えるとすぐに酸性に傾くという現象も見られます。

 逆に二酸化炭素(炭酸)や、次に記載するような酸性物質の溶解量が多いと弱酸性に傾くことになりますが、こうした弱酸性に傾いた天然の河川や湖沼の水というものはあまり見られません。 (温泉は酸性のものが多く、これが流れ込んでいる川や湖は酸性側に傾いているところがあります。) また海水は、炭酸塩や重炭酸塩が多く含まれていて弱アルカリ性になっています。
 酸性雨といって雨水の酸性化が問題になったりしていますが、これは硫黄分が含まれた重油やガソリンを燃やすことで発生する二酸化硫黄(亜硫酸ガス)が酸化されて極めて薄い硫酸を生じ、これが雨に溶けて酸性の雨になって降ってくるものです。 ガソリンを燃やす時に発生する窒素酸化物がさらに大気中で酸化され、これが水に溶けて生じる非常に希薄な硝酸も酸性雨の原因の一つになります。 また、大気中には二酸化炭素が含まれていますから、雨水には炭酸が微量含まれており、こうしたことから雨水をとってpHを調べてみると、酸性に傾いています。 また、雨水は含まれている固形成分に関しては、一旦蒸留したものと同じですからほとんど含まれておらず、先に挙げた硬度は基本的に0と考えて良いでしょう。

 こうした雨水川の水海水水道水天然水酸・アルカリ度(pH)を計って比べてみると、面白い実験ができそうですので、夏休みの理科宿題(自由研究レポート)などとして取り組んでみてはいかがでしょうか。


4.水の残留塩素
 天然の水に残留塩素が含まれていることはありません。 塩素は非常に酸化作用が強く、酸化する相手があればすぐに分解して消失しますし、開放容器に入れておけば1日くらいで揮発して完全になくなってしまいます。

 水道水やプールの水は、水の中に雑菌が繁殖しないよう意図的に塩素(次亜塩素酸塩)が加えられています。 通常は次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を水に溶かしてこの塩素消毒を行いますが、この次亜塩素酸は水に気体状の塩素を直接溶解させることでも発生し、この塩素の強力な酸化作用で雑菌が殺菌されます。 微生物やウイルスなどは、この塩素の酸化作用によってまず細胞膜(植物性の場合は細胞壁)が破壊され、さらにその内部の蛋白質や核酸が変性させられることで殺菌効果が発揮されます。

 雨が降った日などは、水道水取水源の河川水に雑多なものが入りやすく、特にアンモニア性窒素や有機物が多くなると、水道水の塩素がこの酸化に消費されて消失しやすくなるため、消毒効果を確保するため水道水の塩素が多く加えられることがあります。 最近は水道に浄水器を付けているご家庭がほとんどかと思いますが、浄水器を働かせないで、直接水道水をとって匂いを比較してみると、雨の日は少し水道水の塩素が強く感じられることがあるかと思います。
 この残留塩素の匂いは、気になると言えば気になるし、気にせずに飲もうと思えば飲めないことはない、といった程度のものかと思いますが、含まれていれば飲んだ時には確実にその塩素臭(カルキ臭)を感じるかと思います。 
(注:昔は塩素を投入するためにカルキ(次亜塩素酸カルシウム)を使っていたことが多く、このため次亜塩素酸ナトリウムを使った塩素消毒された水も「カルキ臭がある」などと言われます。 次亜塩素酸ナトリウムの希釈液はアンチホルミンという別名で呼ばれます。)

 残留塩素の匂いが気になる方や、浄水器を使っても水道水の安全性が気になるという方は、市販の天然水を飲用や料理用などに使われている方もいらっしゃるかと思いますが、逆に塩素消毒がなされていないと雑菌が容易に繁殖し得るわけで、脱塩素した水(例えば天然水)に口を付けてから、そのまま長時間放置したようなものは、雑菌汚染の危険性が増していると考えた方が良さそうです。

 日本の水道水の残留塩素基準は、0.1ppm以上含まれていることが水道法で義務付けられており、一方多いと塩素臭(カルキ臭)が強くなるため、味やにおいの観点から、上限1ppm(1mg/l)以下に抑えるという水質管理目標値があります。 また、東京都ではおいしい水という観点から、0.1ppm以上 0.4ppm以下を目標基準にして投入されています。 0.1ppmを下回ると法令に抵触し、安全性の観点からも問題があって最低線の基準になりますので、実際にはこの0.4ppm前後を目標値として投入されているようです。



5.残留塩素検出実験セットの背景となる現象について

  この内容については、「1−90P、1−91P 残留塩素検出実験セット」の
  パスワードページからご参照ください。


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  実験の例:

         
 塩素濃度  高    ←    低    高    ←    低     高    ←    低    高    ←    低
 NaClO  1.2ppm  ←  0.7ppm 1.1ppm  ←  0.0ppm  0.7ppm  ←  0.2ppm  0.3ppm  ←  0.0ppm

 残留塩素量の目安となる比色表付き

  (あくまでも実験用です。観賞魚用の水の脱塩素チェックや、消毒用塩素溶液の確認などには使用しないでください。)
                                             
(クリックすると拡大します)
      
 今までに無かった方式で、検出試薬が液状のため扱い易く、この液状のまま長期保存が可能です。
 1回あたり30mlの水の塩素検出実験をする場合、300回程度の実験ができます。
                                                   
(特許出願準備中)

 もう一つ違う種類の性質判定にも利用できます。色がたいへんきれいです。(比色表付き




6.関連リンク

〜不思議な色の世界〜 色水マジック :色鮮やかな科学マジックや、色に関係する各種実験が
                         見られます。
1−90P 残留塩素検出実験セット : 水道水程度の微量な残留塩素を検出する実験セットです。
                         今までに無い新しいものです。
1−91P 残留塩素検出実験セット(パステルジュース手品応用可能セット)」 : 1−90Pと同様、
 水道水程度の微量な残留塩素を検出する実験セットです。 ご家庭によくある「あるもの2種」を
 使うと、科学マジック「1−2m/1−2M パステルジュース手品」に類似の演出ができます。
 (詳細はリンクページに記載) 今までに無い新しいものです。


BTB液もお分けしています
酸性 ・ アルカリ性度合(pH)の測定について
  夏休みなどの理科宿題には、雨水、水道水、湖水、河川水、海水などのpH(酸、アルカリ度)
 を調べる実験も併せてやってみると面白いでしょう。 pHを計る「BTB液」はこちらからお求めに
 なれます。 このページhttp://iromizu.com/BTB1_set.html)では、酸性雨などの原因や、各種
 水のpHについて少しだけイントロを記載しています。




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